いやあ、昔は結婚して、家を買って、車を持って、子供が生まれたら、これで一人前の幸せ者だ、なんて言われていたんですよ。 まるで人生に合格通知があるみたいな話ですよね。 結婚したら合格。家を買ったら優秀。車を買ったら特待生。じゃあ独身でアパート暮らしの人はどうなるんだ。人生の通信簿に「もう少し頑張りましょう」って書かれるんでしょうか。 しかも、その通信簿を配っているのは誰なんだって話ですよ。 学校の先生でもないし、会社の上司でもない。近所のおじさんだったり、親戚のおばさんだったりするんです。 「まだ結婚しないの?」 「家は買わないの?」 「車くらい持ったほうがいいわよ」 いやいや、ちょっと待ってください。あなた、私の人生の株主でしたっけ? いつの間に出資したんですか。 しかも配当金は一円も払ってくれないのに、経営方針だけはやたら細かいんですよ。 さて、ここで考えてみましょう。 家を買ったら幸せになるのか。 確かに、自分の家があるのはいいことです。好きな壁紙にして、庭に花を植えて、休日にはソファでゴロゴロできる。 ただし、住宅ローンという名の巨大な同居人がついてくることがあります。 毎月決まった日に、銀行から「今月もよろしくね」と無言の請求が届くんです。 しかも、この同居人は何年たっても出ていかない。こちらが病気になろうが、会社を辞めようが、空気を読まずに家賃……じゃなかった、ローンを要求してくる。 もう家族より家族らしい存在ですよ。 車だってそうです。 新車を買った日はうれしい。ピカピカのボディを眺めて、「俺もついに成功者の仲間入りだな」なんて思う。 ところが、数日たつとガソリン代、駐車場代、保険料、税金、車検代がやってくる。 最初は愛車だったのに、いつの間にか毎月お金を吸い取る四輪の親戚みたいになっているんです。 しかも、こっちが大切にしているのに、向こうは一度も「いつもありがとう」と言ってくれない。 せめてカーナビが「ご主人、今月も金欠ですね」と慰めてくれたらいいんですけどね。 一方、独身で車を持たず、賃貸住宅で暮らしている人だっています。 その人が仕事から帰って、好きなものを食べて、趣味を楽しんで、ぐっすり眠れるなら、それも立派な幸せじゃないですか。 誰にも気を使わず、休日に昼まで寝ていられる。冷蔵庫にプリンが一個あれば、誰にも食べられずに済む。 これはこれで、か...