かつて日本は、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国でした。1980年代から1990年代にかけて、日本製の自動車や家電製品は世界中で人気を集め、「日本の技術力はすごい」と評価されていました。 ところが、今では日本のGDPがインドやイギリスに追い抜かれ、世界6位になる可能性まで指摘されています。 いったい、日本に何が起きているのでしょうか。 まず知っておきたいのは、GDPとは国内総生産のことで、一定期間に国内で生み出されたモノやサービスの付加価値を合計したものだということです。国の経済規模を比較するためによく使われますが、国民一人ひとりの豊かさをそのまま表す数字ではありません。 そして、ここに意外な落とし穴があります。 国のGDPをドル換算して比較すると、為替レートによって順位が大きく変わることがあるのです。 例えば、日本国内で同じ量のモノやサービスを生み出していても、円安が進めば、ドルに換算した日本のGDPは小さく見えます。一方、ほかの国の通貨がドルに対して強くなれば、その国のGDPは相対的に大きく見えることがあります。 つまり、GDPの順位が下がったからといって、日本国内の経済活動が同じ割合で縮小したとは限らないのです。 もちろん、為替だけが原因ではありません。日本では少子高齢化によって働く世代が減少し、国内市場の拡大が難しくなっています。労働力を確保するための工夫や、生産性を高める取り組みが、これまで以上に重要になっています。 さらに、長期にわたる賃金の伸び悩みや、デジタル分野での競争力、企業の投資姿勢なども、日本経済を考えるうえで見逃せない課題です。 一方、インドは人口規模が大きく、経済成長に伴って市場が拡大しています。人口が多ければ、それだけで豊かな国になるわけではありませんが、消費者や働き手が増えることは、企業にとって大きな成長機会になります。 では、日本はもう豊かになれないのでしょうか。 決して、そうとは限りません。 ここで注目したいのが、GDPの順位と生活の豊かさは別物だという点です。国全体の経済規模が大きくても、国民の所得が十分に増えなければ、生活が豊かになったとは感じにくいでしょう。 反対に、GDPの順位が下がっても、賃金が上がり、物価に負けない購買力があり、安心して暮らせる社会なら、国民の生活満足度は高まる可能性があります。 ただし、経済規模が縮小す...