エンジンをかけた瞬間、少し古い軽トラックがガタガタと震えた。
「よし…今日も走るか」
そうつぶやいて、私は国道3号線へとハンドルを切った。
このキッチンカーを始めたのは、半年前。
会社を辞めたあと、「自由に稼げる」と思って飛び込んだ世界だった。
でも現実は甘くなかった。
「場所選びで売上は8割決まる」
これは最初の一ヶ月で痛感したことだ。
駅前に出せば売れると思っていた。
でも、実際は違った。
「競合が多すぎると埋もれるんだよ」
常連のおじさんに言われたその一言で、私は考え方を変えた。
人が多い場所じゃない。
“買う理由がある場所”を探すんだ。
![]() |
| 場所選びで売上は8割決まる |
次に停まったのは、郊外の工場地帯。
昼休み、作業着の人たちがぞろぞろ出てくる。
「腹減ったなあ…あ、なんか来てるぞ」
その瞬間、売上は一気に伸びた。
「ここは競合がいない=選ばれる確率が高い」
この発見は大きかった。
でも、それだけじゃダメだった。
三日目、客足が急に落ちた。
「なんでだ…?」
答えはシンプルだった。
「飽きられた」
同じメニューを出し続けるだけではリピーターはつかない。
そこで私は、黒板にこう書いた。
「今日は“裏メニュー”あります」
ちょっとした遊び心。
でも、それが効いた。
「なんだそれ?」
「ちょっと気になるな」
人は“限定”と“秘密”に弱い。
この日から、売上は安定し始めた。
さらに気づいたのは、“会話”の価値だ。
「昨日のアレ、美味しかったよ」
「今日は何やってるの?」
この一言一言が、次の売上を作る。
つまり、キッチンカーはただの飲食じゃない。
“関係性ビジネス”だった。
夕焼けの中、車を止める。
「今日もなんとかやれたな…」
最初は不安しかなかった。
でも今は違う。
・場所は「人がいる」より「理由がある」場所
・メニューは「変化」と「限定」
・売上は「会話」で積み上がる
この3つがわかってから、景色が変わった。
国道3号線は、今日も静かに続いている。
「次はどこで売るか…」
ナビなんていらない。
必要なのは、“人の流れを読む目”だけだ。
前略、国道3号線から。
この道は、ただの移動じゃない。
“稼ぎ方を学ぶ教室”だった。
そして私は、まだその途中にいる。
.png)
.jpg)
コメント
コメントを投稿