前略 還暦からの再入門
蝉の声も落ち着いて、少しずつ秋の気配を感じる頃となりました。今日は少し肩の力を抜いて、読書のお話をひとつさせてください。テーマは「文庫本」です。
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| テーマは「文庫本」 |
「最近は本を読んでも、なかなか集中できなくて」と感じていませんか。実は、還暦を迎えたこれからこそ、読書をゆっくり味わい直すのにいい時期なんです。仕事や子育てに追われていた頃とは違い、一冊の本と向き合う時間を、自分のためだけに使えるようになったのですから。読み終えたら誰かに感想を聞かれるわけでもない、そんな気楽さも今だからこそ味わえるものです。
まずおすすめしたいのは、若い頃に夢中になった一冊を、もう一度手に取ってみること。同じ物語でも、還暦を迎えた今読み返すと、当時とは違う場面に心を動かされたりするものです。登場人物の年齢を、今の自分が追い越していることに気づいて、しみじみすることもありますよ。文庫本なら価格も手頃で、手のひらに収まるサイズ感も、鞄に一冊忍ばせておくのにぴったりです。
読み方に、決まりごとはありません。最初から最後まで律儀に読み通す必要はなく、気になったページから開いても構いません。途中で飽きたら、いったん本棚に戻してしまってもいいのです。一日に数ページでも、続けていれば確かに読み終わります。目が疲れやすいと感じるなら、字の大きな大活字本や、耳で楽しむオーディオブックを試してみるのもいいでしょう。
読む場所も、ちょっと工夫してみませんか。お気に入りの喫茶店で、コーヒー片手にページをめくる時間。以前お話しした一人旅の道中で、文庫本を一冊お供にする旅。そんな小さな贅沢が、日常に静かな彩りを添えてくれます。図書館を利用すれば、気になる本を気軽に試せるのも嬉しいところですし、返却期限が、続けて読むちょうどいい後押しになることもあります。
一冊の本が連れて行ってくれる世界に、年齢の制限はありません。忙しかった日々にそっと蓋をして、今日はページをめくる時間を、自分に贈ってみませんか。書店の文庫本コーナーを、あてもなく眺めて歩くだけでも、きっと新しい出会いがあるはずです。
草々
40代からの「読書再入門」: 大人の読書術 前略 還暦からの再入門 (まんたろう文庫)
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