深夜、静寂を切り裂く異質な足音。
遠くから微かに聞こえ始めたそれは、次第に近づき、存在感を増していく。
それは、まるで重い鎖を引きずるような、鈍く、不気味な音色。普段聞き慣れた動物の足音とは明らかに異質だ。何かが、確実に近づいている。
家の周りをゆっくりと、執拗に徘徊し、やがて窓の外でその足音は止まる。心臓が激しく鼓動し、恐怖に震えながら、意を決してカーテンをそっと開けてみる。
そこにいたのは…想像を絶する、巨大な人食いクマ。月明かりに照らされたその姿は、まるで悪夢の具現化。鋭い爪、血走った赤い目でこちらを睨みつけ、獲物を求めるように牙をむき出しにする。
信じられない光景が、現実となって目の前に迫り来る。逃げ場はない。背筋が凍りつくような絶望が、全身を覆い尽くす。クマの重々しい足音が、再び、静寂を破って響き始める。
それは、生への終止符を告げる、死へのカウントダウン。恐怖に支配された私は、ただ立ち尽くすことしかできない…。
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