みなさんは「東方見聞録」と聞くと、まず何を思い浮かべますか。多くの人がイメージするのは「黄金の国ジパング」でしょう。宮殿の屋根も床もすべて純金で覆われている、そんな夢のような描写があまりにも有名ですよね。でも実は、この本に書かれているのは富の話だけではありません。当時の日本人がどんな性格で、どんな社会を作っていて、そして何よりも、なぜあの最強と言われたモンゴル軍を二度も撃退できたのか、そんな人物像や国家像までもがしっかりと記録されているんです。今日はその「もう一つの東方見聞録」に注目してみましょう。
まず日本人の姿かたちや気質についての記述から見ていきます。東方見聞録には、日本人は色白で礼儀正しく、独自の信仰を持つ人々として描かれています。仏教や神道といった偶像崇拝の文化を持ちながらも、どこの国の支配も受けず、独立した君主のもとで暮らしている。これはヨーロッパの人々からすると、非常に珍しい存在に映ったはずです。当時のアジアの多くの地域が大きな帝国の支配下にあったなかで、遠く離れた島国が誰の言うことも聞かずに自分たちの秩序を保っている。それだけで十分に神秘的だったのでしょう。
ただ、その一方で、誇張や誤解に基づいた記述も少なくありません。たとえば、敵を捕らえたらその肉を食べるといった過激な描写が一部に紛れ込んでいます。これはおそらく、東南アジアや北方の異民族の風習と、伝聞の途中でごちゃ混ぜになってしまった結果だと考えられています。当時の情報網は、商人たちが港から港へ、口伝えで噂を広めていくようなものでした。まるで伝言ゲームのように、話が渡っていくたびに少しずつ形を変え、気づけばとんでもない怪奇譚に変貌していた。そう考えると、なんだか人間らしくて面白いですよね。
コメント
コメントを投稿