うちにはね、固定電話があるんです。でも、ほとんど使わない。というか、ほとんど鳴らない。だから、いつも留守番電話にしているんです。
それが、普通だと思っていた。だって、携帯電話がある時代じゃないですか。でも、あの夜から、それが普通じゃなくなりました。
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| 固定電話があるんです。 |
その夜、日付が変わる少し前だったかな。突然、電話が鳴ったんです。こんな時間に誰だろうって、ちょっと不審に思いながらも、留守番電話のランプが点灯しているのを確認して、そのままにしておいたんです。
どうせ、セールスの電話か、間違った番号にかけた人なんだろうって。でも、ランプは消えない。ずっと点灯したまま。気になって、気になって、寝付けない。
重い腰を上げて、電話機に近づいてみたんです。留守番電話の再生ボタンに指をかけようとした、その時。電話が、勝手に鳴り出したんです。
ブルルル、ブルルル。あの、留守番電話のランプが点灯しているにも関わらず、ですよ。もう、何が何だかわからなかった。恐る恐る、受話器を取ってみたんです。
シーン…。何も聞こえない。ただ、静寂だけが耳に響く。でも、電話の向こうには、誰かがいるような、そんな気配がするんです。息遣いのような、かすかな音。
もしかしたら、本当に誰かが、何かを伝えようとしているのかも。そう思った瞬間、受話器の向こうから、あの、留守番電話の再生ボタンを押したような、カチッ、という音が聞こえたんです。
そして、電話が切れた。でも、留守番電話のランプは、やっぱり点灯したまま。一体、何だったんだろう。誰かが、私の留守番電話に、何かメッセージを残そうとしていたのか。それとも、電話自体が、私に何かを伝えようとしていたのか。
それ以来、あの電話が鳴るたびに、心臓が跳ね上がるようになった。留守番電話のランプが点灯しているのに、電話が鳴る。そして、受話器を取ると、何も聞こえない。でも、あの、かすかな息遣いと、カチッという音。あれは、一体何だったんでしょう。
今でも、あの電話が鳴るたびに、あの夜のことが蘇ります。あの、留守番電話のランプが点灯しているのに、鳴り響く電話の音。そして、受話器の向こうにいる、見えない、誰か。
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